Nobel







―――序章―――

「なぁ迷人ぉ。お前この前貸したゲーム、やった?」
ある少年が声をかけた。"迷人"と呼ばれたその少年は振り返り口を開いた。
「あぁ、あれ未だに終わってないんだよねぇ・・・初めの女神からのお告げでさ、<迷えん事不幸と成りし>って意味分かーーーー」
言い終わる前に、世界がぐらついた。辺りはざわめき始めた。
""地震""それは地を歪ませ、時には空間も歪ませる
。ざわめきにかき消された少年の声は、誰も聞く事のない彼の最後の言葉だった。
空間を歪ませ、消えた人間の事は、誰の記憶にも残らず消える。ーーその人間が現実の世界に現れるまでーー